桜は今日も舞い踊る

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渡り廊下を歩いていると、たびたび桜が舞っては、私の頬を撫でていく。 短いような遠いような距離を歩くと、拝殿についた。拝殿の周りには壁がなく、吹き抜けの構造になっている。 ぼんやりとした月明かりを頼りに歩いていると、変わった陰陽師のような服を着た男の人が端っこに、腰掛けているのを発見した。 その人はゆっくりと私のほうを振り向く。 ぼんやりとした月明かりでも、その人がとても美しいことが分かった。その人は桜色の唇をにっこりとさせて、こちらに向かって手招きする。 恐る恐る近づくと、今度は自分の隣をトントンとたたいた。 座れということだろうか? 隣に座ると、その人は徳利からお猪口に酒をとぼとぼ入れて、口に含む。その様子をじっと見ていると、その人は自分に向かって、お猪口を差し出した。 「飲むかい? 」 「いえ、大丈夫です」 お酒なんて飲んだら、両親と友人に更に迷惑をかける。 「そうかい」 その人はまたお猪口を自分の口に傾けた。 「桜、綺麗だねぇ」 「そうですね」 ひらひらと桜の花びらが散っていく。
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