70人が本棚に入れています
本棚に追加
するとそこには、
スライムがいた。
百人が見たら全員がスライムと言いそうな形をしている。
不定型な形と若干緑がかった透明なモンスター。
いかにもファンタジーという感じがして、
少しワクワクしてくる。
でも、スライムである以上おそらくは敵。
早急に対処しなければやられてしまう。
スライムの表情(というか顔自体無いが)が分からないため、こちらを敵として認識してるか判断出来ないが、逃げるか倒すかしたほうがいいだろう。
辺りを見渡す限り武器になりそうな物は見当たらない。となると今は逃げるのが得策だろう。
いや待てよ、異世界転移系のラノベだとしたら、ここで主人公が何らかの力に目覚めて、敵を倒すみたいな展開になるはず。
つまり、俺もこの場面で何らかの力に目覚めるのではないか?
フフッ だとしたら話は早い。
今すぐこのスライムを倒すだけだ。
さっきも確認したが、武器になりそうな物は無いから、魔法でも出せるんじゃないかな。
ではさっそく、
「はぁー!」
と叫び、俺は手のひらをスライムの前に突き出した。
「…………」
おや? 特に何も起きない。
俺の予想ではスライムが木っ端微塵になるはずだったのに。
するとスライムが、
ベチョッ ベチョッ グバァ!
俺が手のひらを突き出したせいで、おそらく敵と認識したのだろう。
こちらに襲いかかってきた。
「やばっ!」
一瞬焦ったが俺は冷静になった。
魔法系の力が使えないなら、きっと物理攻撃がとんでもなく強いはず。
覚悟しろよスライム!
そう思い、俺は襲いかかってくるスライムに全力のパンチをかました。
最初のコメントを投稿しよう!