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悪夢はどこへいったのだろうか。
私は取り憑かれたかのように、問への解答を追い求めた。脳の研究に明け暮れ、毎日毎日、何度も何度も寝てすごした。その多眠不休の研究の結果、一つの答えにたどり着く事が出来た。
悪夢は枕に沈殿している。
悪夢は、ところてんのように、他の夢が生まれると排出される。悪夢は記憶と感情という、いわば情報体であり、それは少なからず質量を持つ。そうなると当然、受け皿になるのは、枕だ。
長く同じ枕を使うと、悪夢は循環し記憶を濁らせる。感情を蝕む。
これは、とても危険な事だった。
故に、この事実を世に公開すると世界は混乱してしまうだろう。私は独り、己がたどり着いた答えに対して、策を練る必要があった。
しかしなんて事はない。私はすぐに対策を見つけることが出来た。これも幼い頃に母が教えてくれた事だった。
定期的に枕を天日干しにすると良い。
太陽は悪夢を散らせてくれる。それさえ怠らなければ、なにも問題は無い。
私は、安心してこの事実を世界に公開した。
世界は一瞬にして、大混乱に陥った。
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