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背後からマシンガンの唸り声が響き渡る。麻賀にはその一つ一つが死の宣告に聞こえた。
麻賀は〝悪人〟だった。そしてそれを追うのは全く面識のない〝善人〟なのだ。
「くたばりやがれ! この悪人が!」
さらに放たれるマシンガンに対し、反射的に麻賀はすぐ横のカジュアルショップのショウウィンドウに転がるように飛び込んだ。
(死んでたまるか……! こんなところで!)
ガラスで切ったのだろう。頬から垂れる血を拭いながら麻賀は隠れられそうな場所を探す。
「うわあ!」
声の方を見ると店長らしき人物がいた。その横には店員の姿も見える。ライフ・ダービーの間隠れていたのか、麻賀を見て凍り付いている。しかし麻賀にとっては吉兆だ。
(一般人がいればハンターも迂闊には動けない……)
迷わず麻賀はハンガーラックに掛けられた衣類の壁に身を隠した。
「おい君……」
ダダダダダダ!
布の壁越しに銃声が響き渡った。衣服が千切れ飛びマネキンが砕け、埃と硝煙の臭いが店中に充満していく。
倒れたハンガーラックと衣類の中に身を隠しながら、麻賀は耳をそばたてた。
ガシャン。
固い靴がガラスを踏み砕く音。間違いなくハンターが店内に侵入してきた音だった。麻賀は身震いした。
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