44人が本棚に入れています
本棚に追加
店への階段の下で微笑む、あの時のちひろが見えるような気がした。余りにも、センチメンタルに浸りきってて。自分でも、どうかしてると思いながら店の前に到着した。
もう、入店待ちのお客さんはいない。そして、階段を上がる。
一段一段、何かを噛み締めながら上がり。昂る気持ちを抑えながら入り口を通った。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませぇ」
若干むさ苦しいボーイさんたちの声と。華やかな女の子たちの声に出迎えられ、目線を前に向ける。
そこには、宮ノ内さんが立っていた。
「いらっしゃいませ、神田さま。ご指名は、ちひろさんでよろしいですね」
「えぇ、お願いします」
あの頃と、同じだ。それが、身震いする程に嬉しかった。
フロアには、女の子とお客さんが溢れている。
その中を案内され、奥へ奥へと進んでいく。
途中、アキちゃんとすれ違いサヤちゃんの席を通り過ぎ。
最初のコメントを投稿しよう!