夜空に煌めく夜蝶たち

55/103
前へ
/704ページ
次へ
   ヒトミちゃんの笑い声を聞きながら、ルミちゃんの席の近くの席に落ち着いた。  VIP席のすぐ近く。  ここからなら、フロアの全体を見回す事が出来る。何となくだけど、知ってる娘たちが。オレの方を見て、視線で挨拶をしてくれた気がした。  そこへ、ボーイさんに伴われて女の子が来る。 「いらっしゃいませ。ちひろさんが準備できるまで、私がお相手しますね」 「えっ、ユカちゃん。何で?」 「イベントの事は、お店のサイトで知っててね。今日だけスケジュールが空いたから、社長に頼んでヘルプ要員で入らせてもらったの」 「大丈夫なの?」 「キャバで働いてた事は、今は秘密にしてないし。オフの日に何しようが、私の自由でしょ」 「そりゃ、そうかもしれないけどさ……」 「ただ、事務所のマネージャーには、内緒で来てるんだけどね」  そう言って、ユカちゃんは笑った。この娘の、太陽のような笑顔は未だ健在であった。
/704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加