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連れに来たボーイさんも、申し訳なさそうに「指名が、多数被ってまして」などと言っていた。
実際、そうなのだろう。
次に行った席は、オレの目が届く場所だったりした。そして、ヘルプには知らない娘が着いてくれる。
昔のオレなら、考えられない事だ。専属のヘルプって訳じゃないが、オレの接客担当が決まっていたくらい。特別で、特殊な客として扱われていた。
当たり前だが、ヘルプの娘はオレを知らない。
「ちひろさんのお客さんだったんですか?」
「うん、まあね」
この場で「旦那だよ」とも言えず、そう答えてお茶を濁した。
そうか、変わらないと思っていても。確実に時は流れ、ここも変わっていたんだと思い知る。昔のようには、過ごせないんだな。
何か、言い知れぬ寂しさに襲われつつも。ヘルプの娘に、昔のこの店の事を話していた。勿論、当たり障りの無い範囲でだが。
やがて、時間になる。
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