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このタイミングくらいは、ちひろが戻るかと思ったが。実際には戻る事は無く、それどころか時間終了も告げられない。
「何でだろうな……」
宮ノ内さんの手心か?
ただ、何も声をかけられない。
そして、また女の子が入れ替わる。新しく着いた娘が不思議な顔で、四つ折りにした紙製のコースターを渡してきた。
“神田さま。本日お時間が許すのでしたら、ラストまでお楽しみ下さい。料金の方は、こちらで持ちますのでご安心ください。宮ノ内。”
そう、書かれていた。
そして、ヘルプの娘が聞いてくる。
「あの、お客さんって特別な方なんですか?」
「誰かから、何か言われた?」
「社長が、特別なお客さまだから。失礼の無いようにって」
「別に、ただのオヤジだよ」
特別な客か。
だったら、ある程度の事をこの娘に説明して、オレの席に着ければいいのに。しかも、来店して一時間が過ぎたタイミングで言うなんて。
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