1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、バレンタイン近いんだっけ?」
「そうですね、2月14日ですから」
俺はここ数年そういうイベントに興味がないというか、縁があまりない状況だった。
「えー、チトセくんは知ってるんだ?」
「以前にちょっと耳にしたことがありましたからね」
コハクとチトセさんのやりとりがちょっと妙だったけど、とりあえず流した。
「どんなイベントなの?」
「んー、簡単に言うと、女性が男性にチョコをあげる、みたいな感じ?」
「そうですね、日本におけるバレンタインといえばそういうイメージになるのでしょうか」
「へー」
コハクは話を聞いているのかいないのか、気の抜けた返事をしながら『バレンタインフェア』をやっている洋菓子店に近づいていく。
「学生の時のイメージでいくと、告白とセットって感じだけどなぁ」
「告白?」
コハクは途端に振り向くと、きょとんとしている。
「そう、なんとなく甘酸っぱいっていう」
「それは所謂青春というやつでしょうな」
俺はチトセさんとどことなく意気投合していて、大したことない思い出を回想していた。
それに対してコハクは「そうなんだー」と妙に納得すると、洋菓子店へと入って行こうとする。
「え?コハク、そこ入るの?」
「え?ダメなの?」
コハクはものすごく純粋な目で見てくるから、チトセさんも俺も「いや、いいけど」って感じでコハクについていった。
最初のコメントを投稿しよう!