コハクとチトセ、そしてオレの2月14日

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「あー、バレンタイン近いんだっけ?」 「そうですね、2月14日ですから」 俺はここ数年そういうイベントに興味がないというか、縁があまりない状況だった。 「えー、チトセくんは知ってるんだ?」 「以前にちょっと耳にしたことがありましたからね」 コハクとチトセさんのやりとりがちょっと妙だったけど、とりあえず流した。 「どんなイベントなの?」 「んー、簡単に言うと、女性が男性にチョコをあげる、みたいな感じ?」 「そうですね、日本におけるバレンタインといえばそういうイメージになるのでしょうか」 「へー」 コハクは話を聞いているのかいないのか、気の抜けた返事をしながら『バレンタインフェア』をやっている洋菓子店に近づいていく。 「学生の時のイメージでいくと、告白とセットって感じだけどなぁ」 「告白?」 コハクは途端に振り向くと、きょとんとしている。 「そう、なんとなく甘酸っぱいっていう」 「それは所謂青春というやつでしょうな」 俺はチトセさんとどことなく意気投合していて、大したことない思い出を回想していた。 それに対してコハクは「そうなんだー」と妙に納得すると、洋菓子店へと入って行こうとする。 「え?コハク、そこ入るの?」 「え?ダメなの?」 コハクはものすごく純粋な目で見てくるから、チトセさんも俺も「いや、いいけど」って感じでコハクについていった。
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