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「だって、書いてあったんだよー」
「何が?」
「『今年のバレンタインは、大好きな人と楽しい時間を過ごしてみませんか?』って、ケーキ屋さんに」
ウサギが耳をピクッと動かして何かに気付くようにコハクは動き出すと、ちょっと頬を膨らませながら話し始めた。
「・・・・・・うん、まあ、そうだろうけど、俺らに関係なくない?」
「えー!僕は聖もチトセくんも好きなんだよー!」
「・・・・・・コハク・・・・・・」
冷めている俺に、一生懸命なコハクに、なぜか喜んでいるチトセさん。
「聖は、僕らのこと嫌いなの?」
コハクはウサギの時の姿を思い出させるようなキラキラした目で俺を見つめてきた。
「いや、好きも嫌いも・・・・・・いや、うん、好きです」
コハクの視線に耐えられなくなって結局俺は、言わされた。
「よーし!じゃあ、パンケーキも焼いちゃおう!」
俺の答えにコハクは納得をしたようで、張り切り出した。
「さあ、ひとまず聖さんは座って。私に任せておいてください」
先程から穏やかな笑顔を浮かべたままのチトセさんは、さながら執事のようだった。
バレンタインパーティーなるものが始まってしまったようだ。
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