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ドアの向こうから聞こえた龍司の声に顔を上げると、ベッドから立ち上がり、急いで入口に向かった。
「龍司っ、おはよう!」
ドアを開けると、きっちりとスーツを着こなした龍司が柔らかい表情で立っていた。
昔と変わらない漆黒の髪は、最初に会った時よりも伸びていて綺麗にワックスでセットされており、その切れ長の瞳は今でも吸い込まれるような感覚に陥る。
20センチ程身長差があり見上げるような形になってしまうが、男でも憧れるほどの端正な顔立ちは小さくモデルの様である。
スラリとした印象を与える龍司だが意外と筋肉質で着やせするタイプだと以前言っていたのを思い出した。
頭も良くてスタイルも良い、そして顔が美形とくれば世の中の女の子が放っておくはずがない…。
そんな事を思いつつ、部屋の前で立ち尽くす龍司に微笑む。
「おはよう湊。…ん?何か気になる夢でもみたのか?表情に少し曇りがある」
頬に龍司の大きい手が添えられ、龍司が心配そうに見つめてくる。
―…俺そんなに顔に出ていたかな?
いつも通りのつもりだったんだけどな…。
俺は龍司に微笑んだ。
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