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言いようのない罪悪感が込上げてくる。
「龍司、ごめんなさい…。おれのせいで龍司までこんなにびしょ濡れになっちゃって…」
俺がここにいたせいで龍司まで…
「俺は大丈夫だ」
困ったように視線を落とした俺の手は、暖かい龍司の手で、しっかりと握りしめられる。
「っ!」
そのまま握られた手を引かれると、龍司の胸元に抱き寄せられた。
「湊、俺は大丈夫だ。俺は風邪なんて引かない…だから心配するな。湊は自分の事をもっと気にした方がいい」
龍司は抱きしめていた手に力を入れると静かに言った。
背中に回された手が優しくて、不思議と落ち着いていく気がした。
「…うん…」
なんでだろう。
龍司とは今日初めて会ったはずなのに、すごく安心する。
ねぇ、龍司
どうしてこんなにも、あなたの腕の中は安心できるのかな?
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