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「そんなことないよ。ちょっと昔の夢を見ちゃって…。でも大丈夫っ!」
昔と変わらない龍司の暖かい手に、少しだけ鼻の奥がツンとした。
自分でも分からないけど、龍司に触れられると凄く懐かしい気持ちになる。
それになんでかな…すごく泣きそうになって
すごく…
胸が苦しくなる
「湊…?」
「あっ…ごめんなんでもない!ほら、龍司もう会社行かなきゃならないでしょ?ご飯食べよ?」
誤魔化すように笑いながら頬に添えられた手を握ると部屋を出た。
龍司は黙ったまま、何か言いたそうな表情で俺を見てくるが、直ぐに優しい表情に戻った。
「もう朝ごはんの準備は出来ている。一緒に食べよう」
「んー!美味しい!やっぱり龍司のご飯はすっごく美味しい!」
リビングに行くと、綺麗に並べられた朝食が視界に入る。
真っ白の艶があるご飯からは湯気があがっていて、出来立てだという事が分かる。
一口食べれば、その美味しさに思わず頬を綻ばせた。
「それはよかった」
嬉しそうに龍司が微笑んだ。
男の俺から見ても整いすぎていている端正な顔立ち。
見惚れながら心臓が高鳴っていくのが分かった。
「っ…」
なんだろう。
なんでこんなに龍司に俺…。
昔から龍司はカッコいいと思っていた。
成長していくとそのかっこよさに拍車がかかった様に感じ、最近では龍司の笑顔にドキドキが止まらなくなってしまう。
「湊?どうした。もう食べないのか?」
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