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「…でも今、やっとその理由がわかった…っ!俺、龍司のことが好きなんだって!どうしようもないくらいに龍司が好きなんだって分かった…ッ!」
「――ッ!!」
「…み、なと…お前――…」
龍司の言葉を遮るように、今度は湊が龍司を抱きしめる。
「龍司は、俺が産まれた時からずっと俺と母さんを大切にしてくれた――。…1人ぼっちになった俺をずっと…辛いことがあっても、今までずっと―…ずっと俺だけを想っていてくれた。成長する俺を優しく見守ってくれた。…それは、1人になった俺の心を救ってくれたんだよ?龍司が俺に救ってもらったって言うように…
俺だって龍司に救われたんだよ?」
「ッ…!!み、なと…」
「――だから、龍司…。今まで辛い思いをしてきた龍司は、幸せにならなきゃいけないんだよ。幸せになる権利があるんだ…」
――その言葉は……ッ
その言葉は、龍司が芹名達に向けて言った言葉だった。
湊の優しい声に乗って発せられたその言葉には、重みがあるように感じられた。
闇の中から龍司を救うには、十分すぎるほどの優しくて温かい言葉。
あぁ。
あの時の芹名達の気持ちは、こんな気持ちだったのか――…。
まさか、自分にその言葉が返ってくるなんて夢にも思わなかった。
湊に言われた言葉に、冷え切っていた心が、光に包まれたかのように温かくなった気がした。
スッと心の中に溶け込んでいくような感覚。
言葉と言うのは、とてつもない力を持っていると思った。
人を傷つける事も出来る言葉の影響力は偉大だ。こんな風に、たった一言の言葉で、1人の人間の心を救う事が出来るのだから…
龍司は、芹名達を朋也の元から助ける際に、自らが発したその言葉の大切さがわかった気がした。
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