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「…おい、しい…!」
とても濃厚で、あっという間に甘さが広がるのに、いつまでもくどく甘さが残らず、スッキリとしたちょうどいい後味のココアに、まじまじとティーカップの中のココアを凝視する。
「ふっ、当たり前だろ。湊の為に、特別美味しいココアを取り寄せたんだからな。」
「ふぇっ!?そうなの?」
“湊の為に”
何気なく言われた龍司からの言葉に、顔が赤くなるのが分かった。
動揺して落としそうになったティーカップを握りなおすと、真っ直ぐ湊の方を見つめてくる龍司の視線に耐え切れなくなり、ティーカップをテーブルに置いた。
赤くなった顔を見られない様に、恥ずかしそうに視線を逸らすも、龍司の視線は未だ感じる。
「湊…?」
「っ…」
どうしよう。
顔が熱くて、龍司の顔が見れない。
胸が今までにないくらいにドキドキしている。
初めて人を好きになって、その人と―――龍司と想いが伝わったからなのかな?
前だったらここまでにはならなかったのに、今じゃ龍司のどんな言葉にも反応をしてしまう自分がいる。
今までと同じように龍司を見ることができない…。
湊は胸元の服をきゅっと握ると同時に瞳も閉じて、落ち着こうと深呼吸をする。
なにも話そうとしない龍司の視線だけが、痛いくらいに感じられた。
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