4章.ふたりの想い、消えゆく笑顔

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4章.ふたりの想い、消えゆく笑顔

「湊、体の具合はどうだ?」 龍司の過去をすべて知り、龍司の想いを知り、湊の気持ちを伝え、漸く想いが通じ合った。 不思議だけど、とても心が穏やかな今の気持ちはどう表現していいのだろうか。 龍司の会社にある緊急医務室のベッドで上半身だけを起こして座ったまま、大きめの窓から外を見ながら湊は思った。 湊がいつも外を見る時は、必ずと言っていい程雨の場合が多い。 しかし、今日は雲一つない晴天だ。 暖かな太陽の日差しが、まるで湊を祝福してくれているかのように照らしてくれているように感じる。 自然と表情に笑みが零れた時だった。 部屋の扉が静かに開く。 振り返れば穏やかな表情の龍司が立っていた。 「龍司…。うん!おかげさまで大分良くなったよ。ありがとう!」 「…そうか。でもまだ無理はするな。今はまだ、セリからドクターストップが出ている」 「ふふ、はーい。」 手に真っ白のお盆を持った龍司が、ゆっくりとした足取りで近づいてくれば、手元に視線を移す。 お盆の上に乗ったティーカップからは、何やら湯気が出ているようで、甘い香りが部屋中に漂ってきた。 心配そうに尋ねてきた龍司に、湊が笑顔で答えれば、ベッド脇のテーブルにお盆が置かれる。 「温かいココアを用意した。湊…甘いの好きだろう?」 「うわー!美味しそう!ありがとう龍司!」 「熱いから火傷しないようにな?」 「もう~!俺、子供じゃないんだけど!」 白をメインに花が描かれたお洒落なティーカップを、そっと手に取れば、意地悪そうな笑みを浮かべる龍司を軽く睨んだ。 まだ湯気が出ているティーカップに口元を近づけると、熱さを冷ますように何度も息を吹きかける。 頃合いを見計らって、熱々のココアを少しだけ口内に流し込む。 ココアの暖かさと甘さが湊の体に染みわたるように広がった。
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