本命チョコに酔いしれて……

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「行くか」 「うん」 ジュリーは片手に鞄、もう片手に杏樹の手を握って自転車小屋まで歩いた。 「ね、後ろ乗りたい」 「ちょっと待ってろ」 ジュリーは鞄をカゴに入れて自転車を小屋から出して跨ると、杏樹に乗るように言った。 「ちゃんと掴まっててくれよ」 「うん」 杏樹はジュリーを後ろからぎゅっと抱きしめるように掴まる。 ペダルを踏み込めば冷たい風がふたりの頬を撫でる。 「飲酒運転」 「お前のせいだろ」 ふたりはあたたかい時間を過ごしながら帰った。 一方その頃……。 「充坊っちゃま、お荷物ですよ」 柊家では使用人達がチョコレートやそれらに合う珈琲やら紅茶やらを持って右往左往していた。 「坊っちゃま、こちらのチョコレートにはこの紅茶が合うかと……」 品のいい執事が充が選んだチョコレートに合せて紅茶や珈琲を選んでいた。 「うむ、あー美味い美味いなー……。ジュリー宛のチョコは……」 まだ中学生の充はこれが自分宛のチョコレートと思いながら涙を流して食べた。 「愛情がいっぱいだーはははっ……」
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