3、あまくにがいきみ

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未羽が僕を好きだということも、自分が未羽を好きだということも、数か月前の僕は知らない。誰よりも近くにいながら、お互い何年も誤解していて気づかなかったのだ。 僕らはじっくり話し合い、パートナーを継続することを決め、恋人同士になった。 そして高校を卒業したら一緒にカナダに留学することにした。 まわりは驚いたようだが、僕もこの展開には驚いている。 未羽がべったり甘えるようになったのにも、すごく驚いた。 そのかわり、練習の時は以前にもまして手厳しい。 「しっかりけじめつけないと」 きまじめに主張する顔が可愛くてたまらず、僕は今まで彼女がどんな気持ちで我慢してきたか理解した。 甘くて苦い初めての恋人は、まるでチョコレートのよう。 「これ……」 未羽はポケットから細長い箱を取り出した。 「バレンタインチョコ」 「ありがと」 僕は心からの笑顔でお礼を言う。 「でも、いいの? これだけで」 「うん。大満足」 好きな人からもらう本命チョコ。 昔、母が言っていたことの意味が今ならわかる。 「あ、美味しい」 口に入れた瞬間、とろけるような幸福感に包まれた。 まさに天国。 「ほんと良い顔して食べるよね」 未羽の笑顔は、食べてしまいたくなるほど可愛かった。 それから僕らが世界を飛び回る活躍をして、何年後かに氷上プロポーズを決めるまでの物語は、またいつか。
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