2、ぼくのはじめて

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いつの間にか眠っていたらしい。 「はるくん」 女の子の声が聞こえ、誰かが手を握っていることに気づく。 この小さくて華奢な冷たい手は……未羽? 灯りの点いていない部屋は薄暗く、目をあけてもよく見えなかった。 でもこれは毎日つないで握って練習してきたパートナーの手に違いない。 「ごめんね」 涙声だった。 だけど未羽が僕の手を握って泣いて謝るなんて、どう考えてもありえない。 ――これは夢だな! 願望の現れなのか。 どうせ夢なら土下座して謝ってもらいたいぐらいなのに、僕も甘い男だ。 「謝罪しに来たの?」 未羽は驚いたようでビクッとシルエットが揺れた。 ほどいて逃げようとした手をがっちり捕まえる。 「何で黙って留学しようと?」 「ごめん」 「理由おしえて」 未羽は口ごもり、僕に捕まえられた手が汗びっしょりになる。緊張している時の反応だ。 「……限界だから」 発言するやいなや、未羽はベッドの僕に馬乗りになった。 「えっ?」 未羽はすごい力で僕を押さえつけると、唇にかぶりついてきた。 「!!!」 むちゃくちゃなキスに息も絶え絶えになり、僕はこれが夢じゃなく現実であることを認識した。 どういうことなのか考えようとしても、心臓はバクバクいうし頭はグルグルするしで、何が何だか全然さっぱりわからない。 「晴希といると、こういうことしたくてたまらなくなる。ずっと抑えてきたけどもう限界。私おかしいよね? 変だよね? このまま晴希と組んでたらまともな自分に戻れなくなりそうで……だから思いっきり嫌われて遠く行こうと思ったんだよ。でも、あんた泣くんだもん!」 まくしたてるように説明した未羽は、僕の制服のネクタイを乱暴にほどきポイと宙に放った。そして次にシャツのボタンを外しはじめる。 「お願い! 1回だけでいいから」
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