チョコ三昧

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(なぎ)先輩! チョコ貰ってください!」 バレンタインデーの朝。 高校の校門の前で見知らぬ女子生徒2人から、それぞれハート型のチョコを突き出された。 そんな光景を横目に登校中の在校生がニヤニヤしながら、私たちのそばを通り過ぎて行く。 はあ……。 また今年も笑顔を振りまく、少し面倒な1日が始まるのか……。 「ありがとう。良かったら、2人の名前とクラスを教えて貰える?」 「あっ、ごめんなさい。わたし、1年1組の高橋 歩美(あゆみ)です」 「同じ、1年1組の加藤 愛菜(まな)です」 「そっか、ありがとう」 多分寒空の下、私が来るまで待っててくれたんだろうな。 チョコを受け取った時に触れた2人の指先は氷のように冷たかった。 「寒いから、風邪引かないように気を付けてね」 私はチョコをカバンの中に入れると、鼻の頭が真っ赤になっている2人の頭を優しく撫でて校舎へ向かった。 直後、背後から興奮した悲鳴が聞こえて、思わず私は苦笑した。
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