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うわ、寒い……。
教室が暖かかった分、階段を昇る体が寒さで震える。
前を歩く藤村さんの背筋はピンとしていて、彼女のシャンプーのものなのか、時折いい香りがした。
「すみません、朝から」
「いや、全然。私ら3年は、午前中で授業終わりだからさ」
屋上は普段解放されていない為、藤村さんと私はその手前の踊り場で足を止めた。
凛とした佇まいで私と向き合う藤村さんは、本当に美人だと思う。
そりゃ、隼人も勘違いして浮かれるよな。
私がそんなことを考えていると、藤村さんは口を開いた。
「薙さんのことが好きです。あたしと付き合ってください」
「……えっ?」
何の前触れもない。
あまりにも唐突な告白。
頬を赤らめるでもなく、淡々と告げられた言葉に私は一瞬耳を疑った。
過去にも女の子から告白された経験はあるから、そんなに動揺はしないけど、さすがに態度と言動が一致してない。
そもそも、何で私のこと好きなの?
聞きたいことが色々あって頭をフル回転させていると、藤村さんの淡々とした声が再び私の鼓膜を刺激する。
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