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「……お返事はいつでも構いません。それとこれ、受け取ってください」
そう言って彼女が差し出した紙袋の中には、赤い箱と御守りが入っていた。
「あっ、ありがとう。気持ちはすごく嬉しいんだけど……ゴメン。私は、藤村さんを恋愛対象としては見れないんだ」
「……それは、他の女子生徒なら薙さんの恋愛対象になり得るっていうことですか?」
ん? その質問は一体何だ……?
「いや、私はイケメン女子なんて、もてはやされてはいるみたいだけど、女の子は恋愛対象じゃなくて。だから、他の女の子から告白されたとしてもその気持ちを受け入れることはできない……。ゴメンね」
「わかりました。でも、そのチョコケーキ糖分控えめに作ったので、良かったら稽古のあとにでも召し上がってください」
藤村さんはそれ以上追求することもせず、丁寧に一礼すると、まるで何事もなかったかのように階段を降りて行った。
前に女の子から告白された時は、泣かれたり抱きつかれたり大変だったけど、彼女は滅茶苦茶ドライなんだな。
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