少しの違いで価値がちがう。

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「どうしても行くの?」 お母さまは何回も尋ねてきた。 「どうしても行くわ。」 そうチカが何回目か答えたところでお母さまは、何かスプレー缶を持ってきた。 「チカが毛糸で編んだミカのコートは雪を吸ってしまうから、水を弾く様にこのスプレーをかけておきましょうね。」 ミカがスプレーから出る霧の様なものを吸わない様にチカはミカの口をふさいだ。 「撥水効果があるからといって、余り長く出掛けて来るのは止めなさい。」 お父様にまでお小言を頂いたけれど、チカはミカに赤い毛糸で編んだケープと帽子を着せて外に遊びに出掛けて行った。 「ミカ、雪の結晶って知ってる?空から降ってくる雪の一粒一粒は、全部違う形をしているんだってお父様が言っていたの。本当なら素敵じゃない?」 粉雪がチラチラ舞うなか、チカはミカを抱き締めて歩き始めた。
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