少女の最期

3/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 夢を、見た。  白が、両親から私を守ってくれる夢。  ダメだと、止めてと手を伸ばしても、身体が思う様に動かない。  母が悲鳴を上げて、包丁を振り下げた。  白は……、白、は、頭を、貫かれた。  もがいて、もがいて、もがいて、……動かなくなった白。  床は血に染まり、白の美しい白銀の鱗も、赤く、紅く、朱く……。  夢なら、覚めて……! 覚めてよっ!  念いとは裏腹に、目が冴えて行く。これは、夢ではないと、現実なのだと、理解させられていく。 「い、やだ……! やだ……っ! ああああぁぁあぁぁあああああああああああっっっっっ!!」  足を縺れさせながら、手を着きながら。白の下へと駆け寄る。 「置いて、かないでっ! 白、白! っしろぉ……!」  もう、動かない白を、抱き上げる。 「何コイツ……。なんか話してるなと思ってたら、こんなモノ飼ってたなんて……! 気持ち悪いわ! 貴方、コレ捨てて!」 「きったねぇな!」  私から白を奪い、窓を開けて放り投げる。 「白! 白っ!」 「うるさいっ!」  がつん。殴られた。  その一撃で、私の頭は悪い方に冴えて行く。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!