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「ちょいと推理バトルをしないか?」
夕陽が射し込む大学の研究室で、自称博士はそう切り出した。
「退屈しのぎにちょうどいいね」
強姦事件の判例を読むのに飽きていた僕は頷いた。
「で、お題はなんだい?」
自分たちの研究が息詰まると、こうして遊んでいた。
「まあ、まずはこれを見てくれ」
自称博士は机の引き出しから未開封の封筒を取り出し、PCモニターの左側にあるペン立てからハサミを手に取る。
封筒の上部を切り取ると、それを僕に放り投げた。
「次暇になった時のために用意していた問題だ。読んでみてくれ」
中身を取り出して、A4用紙を広げた。
「ふうん。小説か。博士の自作だったりする?」
「そう。俺自作のミステリーだ。お前にはそれの犯人を当ててもらいたい」
「全部で3枚入ってるね」
「うむ。1枚進むごとにヒントが隠されている」
「犯人は1人でいいんだよね?」
「そうだ」
「同一人物ってことでいい?」
「その通り」
なかなか面白そうだと思った。博士の顔を見るに相当自信をみなぎらせていた。
「お前からの何個でも質問は受け付ける。俺はそれに対してイエスかノーで答える。それで推理してみてくれ」
「オーケー」
「犯人はここにいる」
白衣の胸ポケットから写真を取り出し、僕に見せてきた。
「それで、これがプロフィールだ」
ついで、と言わんばかりに無造作に放られたそれをキャッチした僕は目を通した。
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