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俺は先頭のバイク目掛けて撃った。
銃弾は見事に前輪タイヤに命中し、先頭は瞬く間に転倒を起こした。
すると後方に走行中のバイクも被害を被り始めた。
1台転倒すればそれにつまづき、転倒していったり、或いは驚きのままに急停止からの転倒していった。
俺は只、唖然とそれを見ていた。
――おいおい、マジかよ……
1発の銃弾がこうも被害が甚大に及ぶとは思ってもみなかった。
中心にいた沼川はどうだろうかと思い、双眼鏡を奥へと覗いて見た。
沼川のバイクはどのバイクよりも派手に改造されてあるので、すぐに分かった。
案の定、沼川も驚き急停止したものの、時すでに遅し。
前方のバイクとぶつかり、沼川1人が高く飛び上がった。
そして、奴は頭から真っ逆さまに落ち、コンクリートの道路に直撃した。
しかし念には念を入れようと、奴のバイクに向けて一発、発砲した。
すると、瞬く間に引火し道路一面は火の海となった。
それを見届けると、さっさと屋上をあとにした。
まだバイクの転倒する音や悲鳴などが聞こえてきたが、振り向くことはしなかった。
この一夜がすぐに終わると思っていた、俺の殺し屋人生を長続きさせた。
そして、“幻影の暗殺者”誕生の一夜になるとはこの時の俺は知る由もなかった……
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