326人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
彼女の問に俺は素直に答えた。
「ある人から教わったのを思い出しただけだよ。見て見ぬ振りはするな。困っている人が2人もいるんだ。孫娘を無残にも殺されたお爺さんと恋人を殺されたフランスかぶれの女性がな」
そう答えると蓮奈は黙ってしまった。
目頭が熱くなっているのか泣きそうな顔をしていたが、口は微笑んでいた。
「……ったく、フランスかぶれは余計よ」
そう言って、蓮奈は俺と握手を交わした。
こうして、“幻影の暗殺者”と“マダム・シレーヌ”が手を組み、鰐淵を倒すという一世一代の大仕事をする事になった。
だが、この時の俺は知らなかった。
この仕事を成し遂げた時に起こる大きな意味を……
最初のコメントを投稿しよう!