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しばらくして、河田は顔を上げた。
「つーかさ、これお前が全部切ったのか?」
「うん、そうだけど?」
「いつからこういうことできるようになったんだ?」
「うーんと、小学校くらいかな?」
「マジか!すげぇなお前!」
河田は目を見開いた。
「えっ?そう?」
その 言葉に俺は驚いた。
「ああ、すげぇよお前!こんな特技あったんだな!」
こんなに笑顔な河田を、俺は見たことがなかった。
俺は言葉が出なかった。
初めてだった。
こういう風に褒められたのは。
これまで褒められるとしたら、イケメンだのカッコいいだの、見た目のことばかりだった。
それはそれで嬉しかったけれど、どこか寂しく感じていた。
見た目ばっかりで本当の俺を見てくれる奴はいないんだな……って。
だから俺は河田の何気ないその言葉が、すごく、すごく嬉しかったんだ。
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