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「………ありがとう、河田」
刺身を興奮気味に見つめる河田の横顔に、俺はそう言ったけど、なんだか照れくさくて声があまり出なかった。
俺の呟きはテレビの笑い声にかき消された。
河田は顔を上げた。
「え?お前今なんか言った?」
「………なんでもない」
「蛍司」
その時、台所にいる父さんに名前を呼ばれた。
「今行く」
俺は慌てて河田のそばを離れた。
まだ少しだけ顔が熱かった。
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