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この前のことで
社長とは、顔を合わせにくいが
仕事なので嫌でも顔を合わせないとならない。
胸がズキッと痛んだ。
「いえ、お気遣いなく。仕方がありませんし
それより、どうでしたか?具合の方は……」
「あぁ、やっぱりインフルだった。
ただ熱が高いせいもあって
様子を見ていないといけないし
熱を下がれば、ご機嫌ななめでな。
ずっと抱っこをさせられて肩が凝った……」
社長は、疲れた表情で
肩をぐるぐると回していた。
「それは、何よりです」
どうやらいい父親をやってきたようだ。
切ないけど、これで良かったんだと思う。
ワガママなんて言えないし、仕方がないことだ。
やはり香奈子と恵美の言う通り
私は、違う男性にも目を向けた方が
いいのかもしれない。
辛い恋愛を乗り越えるためにも……。
その夜に
私は、稲葉先輩に電話をした。
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