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第四話 セドナの少女
海底環境都市ニヴルヘイム。
その拠点は地球の海底各所に点在する。
厚い耐圧ドームの殻に覆われた大小の拠点は役割、人口も様々であるが、全てがニヴルヘイム中央市の支配下にある。
そして、人類が活動する上で発生する廃棄物を海に垂れ流し、都市周辺の海は黒く濁る。温暖な気候下にある地球においても、照り付ける太陽の光はニヴルヘイムには届かない。
都市下は常に人工灯に照らされ、光の及ばぬ路地裏は昼夜を通して布を被せたように薄暗い。
「どうだ、スルク」
「思ったより……ネチョネチョするな……これは」
スルクとエドは高速艇を売り払って得た金でニヴルヘイムの市民権を購入し、無事ニヴルヘイム セドナ市に潜入することに成功した。
しかし、元海賊の二人である。
「辛抱だ。この町で俺らは悪目立ちしすぎる」
ニヴルヘイムでは健康的に日焼けしたスルクとエドは異質な存在だった。故に、二人はドラッグストアで購入した美白クリームをべっとりと塗りたくる。エドも好き好んで美白クリームを塗りたくろうとは思わない。
顔をクリームまみれにしたスルクが言う。
「……クリーム塗りたくった方が悪目立ちしないか……?」
「……かもしれん」
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