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水面からはしごに手を掛けたスルクはそこでそれまでの浮遊感を失う。いつもよりも重く感じられる自分の体重を引きずりながらネプテューヌのコクピットによじ登って行った。
「水の中は、どうだった」
エドは少し楽し気に尋ねた。
「ああ、ネプテューヌで潜るのとは全然違う。この辺の海は、青いんだな」
スルクは少し息を弾ませて答えた。
「このあたりはニヴルヘイムの制海圏から大分遠くに外れるからな。汚染も進んでいない。おかげで釣り船スルクは今日も大繁盛だ。見てみろよ」
エドはコクピットに備え付けられていたクーラーケースの蓋を開いて鼻息を荒くする。クーラーケースの中には巨大な魚がぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。大きいものは1メートルはあるだろう。
スルクは呆れた。
「こんなに釣っても腐らせるだけじゃないのか。それに、ネプテューヌは釣り船じゃない」
エドはボトルの飲み水をスルクに投げて寄越しながら言った。
「ははっ、ファンダイビング用の機体でもないだろ。我が団の貴重な戦力……と、そのことだ。テルさんから通信があってな。そろそろ戻ってこいってよ」
「団長から?」
「ああ、久々に魚以外の物が食えるぜ」
「やるのか?」
「北のレブン島沖にシャングリラの輸送船が通る。それを襲うんだとさ。情報によると護衛はネプテューヌ三機だそうだ。イケるか?」
スルクは水のボトルを一息に飲み干した。
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