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その通りだった。
それはそれとして、二人にはやるべきことがある。
「それで、ええと……お前が聞いたのは、セドナ市で一番の老舗料亭、だっけか」
エドが尋ねた。
「ああ、間違いない。確かに共通チャンネルの通信でそう聞いた」
二人の目論見はこうだった。
スルクを襲撃したマクリルのパイロット、ルーを探し出す。そして、尾行するなりして最新鋭機の停泊するドックを突き止める。そのドックで適当な船とニヴルヘイムの高性能ネプテューヌを拝借するのだ。
「セドナ市で一番の老舗料亭って言うなら、人に聞けばすぐに見つかりそうだな」
二人は聞き込みを開始した。
………………
…………
……
ニヴルヘイムでは時間の感覚が狂う。
それでも、二人は数時間程度聞き込みをしたはずである。
見つからなかった。
糸口すら、ない。
途方に暮れた二人は道端に座り込んで休憩をしながら話す。
「なあスルク、聞き間違いじゃないのか。老舗料亭じゃなくて老舗旅館とか、老舗旅行代理店とか」
「いや……刃物を扱うなら、やっぱり料亭だろ? さすがに聞き間違いではないと思うが……」
旅館はともかく、旅行代理店で刃物を扱うことはないだろうとスルクは思う。
「あの……」
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