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金曜日の放課後、教室を逸早く抜けだして、いつも待ち合わせる、一、二年の校舎と三年の校舎を繋ぐ渡り廊下へと走った。
教室前の廊下から渡り廊下へと折れたとたん、すでに待っていたお兄ちゃんの姿が見えた。
冷たく通り抜ける風に首をすくめながら駆けていった。
「寧音、走らなくていいって云ってるだろ」
息のあがったあたしの頭にお兄ちゃんの手がのっかった。
「おめでとう、お兄ちゃん! って早く云いたかったんだよ」
「おれよりうれしそうにしてる」
高校三年になったお兄ちゃんの就職活動は、なかなか思うような仕事が地元になくて一月になっても宙ぶらりんでいた。
それがやっと決まったのだ。
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