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あたたかいもの
こんな夜は君を思い出す。
それは雪がたくさん降る夜で、辺りは真っ暗で、寒くて寒くて動くことすらままならなかった。
木の下で小さく丸まっていると君が来てくれて優しく僕を抱き上げてくれた。
あの時の、雪も溶けてしまうような温かい笑顔は僕の一生の宝物だ。
君は僕を抱えたまま、小さな一軒家の中に入っていった。
そのまま真っ直ぐ階段を上がって、奥の部屋に入った。
僕を置いて、君は下に降りていった。その時怒鳴り声が聞こえて、何かがぶつかるような大きな音がした。
僕は不安になって部屋の中を歩き回った。しばらくして君は戻ってきて僕の前に温かいミルクを置いた。
「寒かったでしょう。もう、大丈夫だよ」
僕の頭を優しく撫でて君は横になった。君は目を閉じると、そのまま寝息をたてはじめてしまった。
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