黄色い月、壊れた二人。

壊れた二人

「お待ち遠さま。今日は『kumonishiki』はお休み？」
半年程前に出来た新しいお店。
ショコラトリー『kumonishiki』はオープンしてから一気に小さな町の人気店となり、土日ともなれば郊外から来るお客さんで駐車場は溢れるくらいだ。
昨日までの三日間、この辺り一体の商店街で開催されたイベント『寄ってこ、見てこ』では、そのオーナーでもある ショコラティエの窪田春美ちゃんは中心的人物となってそのイベントをもり上げてくれた。
六つに仕切られた箱とチケットが六枚で千円。
参加する十店の店には『kumonishiki』のチョコレートが数種類、『kumonishiki』の向かいにある老舗和菓子『野中』の最中『花筏』、それに私が勤めるカフェ『心星』のブール・ド・ネージュのいずれかが置かれており、客が店を訪れて好きなものとチケットとを交換をするシステム。
全てが埋まると希望者には簡易的な包装もして誰かに贈る事も出来る。
正にバレンタインデー直前だったこともあって、結果的には大成功だった。