黄色い月、壊れた二人。

壊れた二人

『kumonishiki』がオープンして最初のお客が私だったこともあり、彼女とはすぐに打ち解けた。
『kumonishiki』の定休日にはここにもよく来てくれて、その時に偶然居合わせた彼への態度を見て知った彼女の想い。
既に彼女と私とは互いの店を行き来するようになっていて、初めて一緒にご飯を食べに行ったその時、彼女の恋が数年間続いていたものと知った。
どうやら数年越しの恋は叶ったようで、なんとも羨ましい限りだ。
私も今年こそ……とは思うけれど、中々その勇気が出せないでいる。
明日はバレンタインデー。
女の子から告白をいても良い日。
その日に掛けてみようか……。
いや、告白したら振られるだけでなく、一緒に居るのが辛くなっていずれこのカフェで働く事も出来なくなるかも……。
そう思うと、中々告白しようという決心がつかないでいた。
それでも、渡すものは既に用意していた。
先日行われた『kumonishiki』でのバレンタインデー特別企画のチョコレート教室。
丁度カフェの定休日と重なったので、叶多君には内緒で行ってきた。