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「ちょっと待てッ……誰が行くって言ったんだよ? 話聞けよ! 難聴? 難聴なんですか? 補聴器を今すぐ着けてくることをおすすめするッ! ……というか、離せ! は、離せえええ!」
「ほらっ……男なら覚悟を決めろ! お前上手いんだろ? だったら上手いなりにチームに入って層を厚くさせて、俺の練習にも付き合えよ。サッカーやるとモテるぞ! だから……早く来いいいいいいい!」
「彼女持ちのお前にモテるぞって言われても嫌味にしか聞こえないんだよおおおおお!」
「うっせんだよ! とにかく諦めてセレクション受けろおおおおお!」
「断る!」
「それも断る!」
「却下!」
「それも却下!」
「爆死しろリア充ッ!」
「悔しいならさっさと彼女作れヘタレぇッ!」
「作れねえんだよッ!」
「だからって俺にあたるんじゃねえよッ!」
「──あの……何やってるんですか?」
「「あぁんッ!?」」
「ひぃっ……!?」
突然、口論中に入ってきた声主に、勢いそのまま振り返りながら聞き返してしまった。
「あ……」
「んだよ! 無視すんなよ綾崎! あ……」
思わず、強く聞き返してしまった方向に居たのは、尻餅を着き、こちらを怯えた表情で見上げるジャージに身を包んだ、如何にもか弱そうな、可憐な女子だった。
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