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段々と荒れていく足下をマトックで確かめ、長いロープをそれぞれの身体に結構な余裕を持たせて巻くと言う有様で登山を続けていた。
「……あんな動きをするんじゃねえぞ」
「だからあれは、私の魔法薬だって言ってるでしょう? 何度目よ!」
不安げな顔立ちと声色に少しばかり苛立った様に返すのは、ガントがピーターを遠巻きにしようとしているのを感じたからだ。
薬を人前で使うのは控えてほしいと以前言っていたと言うのに、ピーターは感知ミスをやった穴埋めに飲んだ。
それから来る苛立ちに依る八つ当たりも有るが、化け物として見るのは頭に来る。
「でもよう、冒険者ってのは薬なんかなくったって人外なんじゃねえか?」
噂に聞くのを纏めると、そう聞こえるぜ……と付け足す様に言われ、ティンクは引っ叩いてしまう。激し易い性情が身体を動かした。
「おっ? 何しやがる?」
ただただ驚いただけと言う様子が、思い切り引っ叩いたつもりでもダメージが無いんだと感じさせられ、余計憎らしく思えたティンクは言ってしまう。
「お前が戦えないからいけないんだ!」
そんな叫びは、ガントに不快感を覚えさせ、しかめっ面を作らせるだけだった。
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