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「ティンク、魔物なんて食いすぎると体壊すぞ。この前なんかはあの毒で死んだ魔物を食おうとして!」
「長い付き合いで私の胃袋がミスリル製だってわかってるでしょ? ピーターは心配性なのよね。あの毒だって、冗談に決まってるじゃない」
ティンクと呼ばれた妖精はティン・クウと言うのが本名で、ピーターはピート・レイターを縮めたものだった。
彼女の言葉の通り、ピーターは彼女が食べ物が原因で具合を悪くしたのを見た事が無いが、毒を持ったマッシュビースト(自分で歩くキノコで、石突が変化したとか言う足を持っている)を食べたときなんかは大いに慌てたものだ。
毒殺した魔物については冗談とは言うものの目が本気だったし、自分で創った毒なら死なないかもとブツブツ言っていたのをピーターは忘れていない。
そう言う風に町をうろついていてやがて目に付くのは道端に転がっている……というよりもある程度丁寧に設置された簡素ながらも機能美が有ると見て取れるボートやら、やたらに高く建てられた高床式が特徴の(尤も、この町の建物全てに通ずる建築様式だが)空家の多い事が目に付いてくる。縄梯子で登る少し珍しい方式だ。
まず、空き家の多さに感じる違和感の正体とは、
「お兄さんに妖精の嬢ちゃん、串肉で一つ腹ごしらえしないかい?」
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