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「さて冒険者殿。この町の特徴を知っているかな?」
町長に問われ、こくりと二人で頷いてからピーターが話す。
「今私達が見た通り、一週間に一度ですが内陸であるにも関わらず大規模な洪水に見舞われる。その原因が……」
この家に入るまでは殆ど常に目に入っていた大きな山を思い浮かべながら言う。
「あの山の火口跡に有る、巨大な水の石だと知っています」
「その通りだ。――知られている限りではな」
意味深長な発言の真意は明るい話ではなく、金の魔力を表した物だった。
ざあざあと流れながら一向に下がる気配の無い濁流を頬杖を突きながら(これは不機嫌だったり落ち込んでいるとき、それに不安がってる時の癖だ)見物しつつ荷物の確認や整頓をしているピーターに聞く。
「ねぇ、本当にこの依頼をやろうっての?」
ティンクの不安だった。この依頼が王国の人間に向けてのみ出された本当の意味を知ったからだ。
抱えた負債の清算に付き合わされ、しかもそれが原因で罪に問われる可能性が有るとわかればそれも増大する……。
「終わらせてからすぐに王都に逃げれば大丈夫さ。今からなら、少なくとも一週間は疑われ無いだろうし」
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