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実際の所、共犯者となっている時点で口に出すところで出そうものならば冒険者二人と町長親子は併せてお縄につく事となるし、そう言った罪を通報した時の謝礼金よりも高い金を払うと言ったし一部を前払いしたからリスクを負うような馬鹿ではなさそうだから大丈夫だろうと言うのが町長親子の考えで、実際ピーターも思惑に従うつもりだった。
尤も……一番の理由は村長親子には人殺しをする度胸がないからだが。
ティンクがそれを察する事ができないのは、大人に対する不信感と大罪を犯す者どもの血族だと言うフィルターが掛かってしまい、町長親子を大悪党として見てしまっているからだった……。
「まあそう目くじらを立てるなよ。お邪魔虫がいようがなんだろうがこんな苔蒸してて、それ以外にゃあちょこちょこっと木が生えてるような山なんかはデート向きじゃなかろうよ。――うわっ、霧も出てきやがったぞ……」
肩を竦めてやれやれと言った風情で叩いた軽口は、警戒心から来る緊張感でピリピリと敏感になったティンクの神経を猛烈に逆撫でて、殺意を覚えさせていた。
(そんな軽口を叩きながら、私達を口封じに殺すつもりなんでしょうね……!)
漠然としていた懸念を確りとした思考にしてしまえば、殺意もまた明確になってしまい、
「先に殺してしまおうかしら……」と言う凶暴な呟きと共に思考も傾きかけたが、
「魔物が出たぞ、ティンク……!」
小さな声で叫ばれた号令は確かにティンクを助けた。
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