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レンジャーとしても食っていける技能の持ち主のピーターには野生の勘を持った獣よりも速く気付くのはたやすいことで、濃くなった霧も彼に味方していることは取り出した投擲用の短剣が白く塗られていることからもわかることだった。
透明な小瓶に入った自然のものではない緑色の液体を飲み込んでから特殊な握り方で持った短剣に黄色い軟膏の様な物を慎重に塗り、ベッタリと付いたしたそれが付いた短剣を場数とトレーニングによって鍛えられたスナップを活用して投げる。
犠牲者は泳ぎ鼠と呼ばれる魔物で、人の大人ほどの大きさを持ったそいつは水陸を問わず俊敏に動く上に獰猛かつ雑食な為、先手を取らなくては戦い慣れしていないガントが危険だった。
……陸に住む鼠と違ってひげの代わりに鰓が付いているのは危険を察知するセンサーを持たないと言う事なので、ピーターには都合のいいことだった。
弾丸の様な速度で飛んだ短剣は着弾したかと思えば肉を裂いて突き刺さる。悲鳴と、その次に怒声を上げて殺気を自分を傷つけた物が飛んできた方角に向ける。
殺気がこちらに来た事に怖気づいたガントが悲鳴を漏らすが、鼠本人は自分の声がいつもに比べて酷く小さなものであると、獣なりに気付き違和感を覚える。
……程なくして鼠は自身の体の自由が利かないことが分かり、困惑する様な悲鳴を上げてしまう。そしてそれは遺言となった。
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