怪盗QED

3/3

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
「しかし元也さんの言うことももっともです、盗まれた金塊を確認した方がよくありませんか?」 私は元也の肩を持つわけではないが、窃盗の状況を知りたかった。 「そうじゃの…。」 金庫に近づいた元斎は中を確認すると言った。 「大体じゃが半分ほど無くなっとるかのぅ…。」 「半分というと?」 「100くらいかのぅ?」 「金塊が100ということは200あったんですか?」 「そういうことじゃ。」 「あの…変な質問かも知れませんけど、なんで全部取らなかったんでしょうか?」 「…ん?そりゃ重かったんじゃないかのぅ?」 「重かった?」 「そうじゃ、1個大体15キロはある金塊じゃて。100個取っただけでもよくやったもんじゃよ。ふぉふぉふぉ。」 そういうとまた笑う元斎だった。 「100で1500キロか確かにトラックでもないと無理そうですね…。」 「トラック?」 元成が突然驚いた様に言った。 「どうしました?」 「いや、トラックなんてこの屋敷の中に入れないよ。」 「え?そうなんですか?」 「うむ、安全のため塀の中には車が入れない様な構造になっておるし、ここはほぼ屋敷の中心……1番近い塀から100mは離れているじゃろうて。」 「なるほど…QEDが金庫を破ってもさらに運ばないとダメってことですね?ますます不可能ですね。」 「そのQEDってなにかの暗号なのか?」 元也がずっと疑問だった事を口にした。 「QEDは数学の証明の最後に書かれるもので、以上証明終わりって意味ですよ、今はあんまり使われないらしいですが…。」 「え?それで?それってなんの意味があるんだ?」 「そうですね…つまり犯人はこう言いたいんじゃないですかね?ほら、開けられたでしょ?僕に開けられない金庫はないんだよ。以上証明終わり。」 「…なんてやつだ。」 それを聴いてまた元也は歯噛みをし元斎は豪気に笑った。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加