奇術師の登場

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「皆さんのお気持ちはありがたいんじゃが…既にここに刑事さんがおられるのでな、ご心配にはお呼びません。どうか引き続き祝賀会を楽しまれてくだされ。」 そういって元斎は皆に心配無用な事を告げた。 「なるほど、確かに頼りになりそう刑事さんですけども、相手はあの有名な怪盗何でしょう?果たして捕まえられますかな?」 いやな事をいう奇術師だな…。 私はそういう目で見たが(くだん)の奇術師は意に介さずという感じで話を続けた。 「どうでしょう?3人集まれば文殊の知恵とも言いますし、これだけの人間がいればなにか手がかりくらいは掴めそうじゃないですか?」 いやいや、いくら素人が集まって捜査の真似事をしても邪魔になるだけなのだが…主の客人ということでそのままいうわけにもいかず、それとなく元斎に目配せを送ると元斎は心得たと、ばかりに頷いた。 「うむ、それじゃあ、皆さんにも頼むとするかのぅ。」 ずこー! 私は心のなかで盛大にコケた。 私のアイコンタクトは伝わってなかったらしい。 私はやれやれと心の中で手をあげた。
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