奇術師の登場

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「どこから聞いていたかしらないがこれは素人が首を突っ込んでどうこうできるものではないよ。」 鷲尾元也が久々に口を開いたと思えばいい事を言った。 私は内心そうだそうだ、もっと言ってやれ! と思ったがもちろん顔には出さない。 しかし、奇術師は引き下がらなかった。 「失礼ながら先程不可能がどうとか聞こえましたけど。」 「ん?確かにそういった。不可能な事が重なっているから素人に……。」 突然目の前に花束を出されて元也はギョッとして口を尖らせた。 「な、なにするんだ藪から棒に!」 「失礼…とはいえ、見ての通り私は不可能を商売にしてますゆえ、全くの素人とも言いきれないかと。…それと、藪から棒ではなく、棒から華でございます。」 それを見ていた元斎は呵呵と笑って言った。 「元也1本とられたなぁ。」 元也も顔を紅潮させてピエール尾張を睨むとつっけんどんに言いかえす。 「そんなに言うなら、見せてもらおうか?恥をかいても知らないからな!」 結局協力させてしまった。 どうも、口でも奇術師の方が1枚上手らしい。 「まず何があったのか教えて貰えますか?」 「このなかにあった金塊が盗まれたんだ、金の延べ棒が100。1本2600万はくだらないだろう。」 ヒュー。 誰かの口笛の音が聴こえた。 「それだけではない、使用人の椿が停電の時に襲われてな…意識はあったが今救急車で運ばれて行 ったのじゃ。」 元也の後を受けて元斎も捕捉説明した。 また、思い出したのか元斎は心配そうな顔になった。
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