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「更に言えばこの鍵を持っておるわしが入院しておったという事じゃろうか?」
誰も謎を解けないところでまた元斎が話し出した。
「確かに…今日の今日まで父さんは入院していたからここには鍵がない。」
元也も相槌をうつ。
「あの、差し支えなければなぜ入院をされてたので?あとどちらの病院でしょう?」
ピエール尾張はなんとか謎解きをしたいらしい。
「病院は戸奥野病院じゃ、ここから50キロくらいかの?ま、山奥の総合病院でセキュリティもしっかりしておるので簡単にはこれんしわしも誰にでも会うわけではないしな。」
「なるほど。」
「あと、病は肝臓の方をちょっと壊してな…妻が3年前に他界してから少しばかり酒の分量が増えたのが良くなかったらしい。」
「…それは、なんとも、お気の毒に。」
「いやいや、妻はわしより10も上じゃからほぼ老衰に近いんじゃが…五月蝿いやつじゃと思っておったが居なくなると応えるのう。」
そう言って元斎はまた笑うのだが心做しか空元気にみえた。
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