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「では1番最後に金庫を開けたのは何時です?」
私は質問が一段落したのを見計らって刑事らしい質問をして存在感を見せた。
「え?そうですね…例の水晶を金庫にしまう時だから5ヶ月くらい前かな?」
元也が答える。
「その時はもちろん鍵を使ったんですね?」
「そりゃそうさ、お父さんから鍵を預かって開けた。」
「その時は金塊があった?」
「もちろんだ、なかったら気がつくだろ?」
「その時その場に居たものは?」
「え?自分以外だと椿と桜かな?」
「疑うわけではありませんが2人に不審な動きはありませんでしたか?」
いやな聞き方だと自分でも思ったが仕方ない。
「ちょ!私が盗ったとでも?」
ずっと黙ってた桜がたまらずに口を挟んだ。
「そ、そういわれて見れば…。」
「なにかあるんですか?」
「いや、水晶が珍しいとかで触らせてくれって…。」
「え?それは!綺麗だったので!それだけです!」
「あと金の延べ棒も持たせてくれって言ったよな?」
「…あ、それは綺麗だったから…。でも、椿さんに怒られて直ぐに金庫に返したし。椿さんが金庫閉めちゃったからそんなに見ていられなかったし」
「おい、よさないか…若い娘が興味を持つのは当然じゃろ。それより簡単に触らせたお前が悪い。」
思わぬ叱責を食らう羽目になった元也は憮然とした。
「まぁまぁ、でも、その時は桜さんのお陰で本物の金の延べ棒があった事がわかったわけですから…。」
私はなんとかフォローしようとした。
疑ったりフォローしたり私も忙しい。
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