不可能の条件

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「そのあと、鍵はどうしました?」 「ん?鍵は私が病院まで持っていった。誰にも頼めないからな。」 「なるほど、すり替えも不可能ですね…。どうですピエールさん?できそうですか?」 私は沈黙を守っている奇術師に聞いてみた。 「そうですね、接触する機会でもあれば可能ですが…元斎様の病室はもちろん個室ですよね?」 「無論個室じゃ…そして、鍵を外す時は個室をロックしとるからの、病院ぐるみでわしを騙さない限り無理じゃて。お主の方ができそうじゃわい。」 「ふむ、恐ろしく奇怪な話ですね…。まぁ、鍵の事は少し置いておいて、別の角度から考えましょうか?」 奇術師はなぜか話を変えたいらしい。 「別の角度?」 「そう、まずはどうやって1500キロもの金を運んだのかという事。」 「確かに…それも謎だが…。」 ほとんど下にいるものに気づかせずに最低100mの壁まで運ぶのは容易ではない。 「よくマジックで使うトリックで言うと…運んでないというのがあります。」 「運んでない?」 その場にいるほぼ全員が驚いた。
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