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「はい、運んだのかの様に見せただけで運んでない。」
ピエール尾張は皆をみまわすと大袈裟な身振り手振りを付けてそう言った。
「どういうことです?」
「例えば床、壁、どこでもいいですが金塊を平べったく並べたとするとどうでしょう?」
「どうでしょうって言われても…。」
「そう、気が付きませんよね?」
誰も言ってないのに自分で答えるピエールだった。
「まさか!」
元也は驚いて壁や床を探ってみた。
「普通じゃないか。」
「なにもこの部屋とは限りません。」
そう言われればそうかと人々は手分けして廊下や隣の部屋などを調べてみた。
みんな汗をかいて戻ってきたが、口々に異常のないことを報告した。
「ないじゃないか。」
元成が怒ったように言った。
「ま、可能性のひとつだと思ってください。天井や屋根を調べたわけではないのですから…。」
たしかにそうだがそのほうが難しそうである。
「あとはそうですね…。」
ピエールはやにわに窓を開けると庭を一望した。
大きめの池を見つけると皆を見渡して言った。
「例えばあの池に沈めるとか…。」
「なんだって?」
これには元成もすこし興味を示した。
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